- なかなか
- なかなか【中中】※一※ (副)(1)物事の状態・程度が予期した以上であるさま。 (ア)思っていた以上に。 かなり。 ずいぶん。
「~立派だ」「~強い」「見て見ぬ風(フリ)で, ~注目してゐる/多情多恨(紅葉)」(イ)(打ち消しの語を伴って)思ったとおりには。 容易には。 「~解けない」「タクシーが~つかまらない」「~そうは参りません」
(2)中途半端に。 なまじ。 かえって。「連中の繁忙なる有様は申すも~愚(オロカ)なり/もしや草紙(桜痴)」「心づきなき事あらん折は, ~そのよしをも言ひてん/徒然 170」
(3)(中途半端にするよりは)いっそのこと。「~死ぬればうらみも恋もなかりしに/浮世草子・五人女 4」
※二※ (名)なかば。 中途。「葛木(カズラギ)や久米路(クメジ)に渡す岩橋の~にても帰りぬるかな/後撰(恋五)」
※三※ (形動)(1)思っていた以上であるさま。 かなりな。 相当な。「~なやり手だ」
(2)中途半端なさま。 どっちつかずなさま。「中将も~なることをうちいでて, いかに思すらむと/源氏(藤袴)」
(3)中途半端で, むしろしない方がましなさま。 なまじっかなさま。「~なりける見参かなと, 今は悔しうぞ思はれける/平家 11」
※四※ (感)相手の言葉を肯定するのに用いる語。 いかにも。 はい, そうです。「『…さて汝らは, 楽しうなりたいな』『~, その望みでござる』/狂言・福の神」
〔「なか」は中途の意で, 「なかなか」はどっちつかずで中途半端なさまを表すのが原義。 古くは中途半端でよくない, 不満だの意で用いられたが, 中世末頃には肯定的にとらえる ※一※(1)(ア)の意が生じた。 上代は「なかなかに」の形でしか用いられなかったが, 平安時代に語尾の「に」を活用させて形容動詞として用いる一方, 「に」を脱した「なかなか」の形でも用いられ, 次第に多用されるようになった〕~でもな・い思いもよらない。 とんでもない。 けしからぬ。「~・い事, …海賊の仲間に入り/浄瑠璃・博多小女郎(中)」
~の事相手の言葉を肯定するのに用いる語。 いかにもそのとおりだ。 もちろんだ。「『なに御暇と候ふや』『~, とくとく下り給ふべし』/謡曲・熊野」
Japanese explanatory dictionaries. 2013.